PPC-LOG

主にリスティング広告をはじめとするWeb広告、マーケティング関連の記事を書いています。

虚偽・誇大広告がなくならない理由

2014年頃からほうぼうで、「ネット広告の闇」という言葉を耳にするようになった方も多いのではないでしょうか。ネット広告の課金システムを悪用した、悪質なサイトの乱造、広告で書かれている内容が悪意をもった虚偽情報に基づくものであるケース、芸能人やモデルが使用していると書きながら、実際は全く関係性がない商品の販促が広告上で行われていたりするケースなど...直近でも関係のない第三者に画像を使用され、それがLINE広告に出稿されていることに本人が気付き、企業に取り下げを要求するも、企業側が拒否、結局LINE公式が事態を把握し謝罪するといった事件が起こりました。

 

またNHKの「クローズアップ現代+」でも、これらの問題については特集が組まれ放送されるほか、今年になってから、それらの問題がまとめられ新車として刊行されるなど、嫌な形で社会から注目を集める機会も多くなってきています。

 

 

 

まず結論から申し上げると、虚偽・誇大広告をなくすことは、物理的に不可能だと自分は考えています。

 

上記LINE広告のように、虚偽・誇大広告はなくならないどころか、むしろ年々巧妙化されつつあります。また、虚偽・誇大広告は紐解くと紀元前2,500年頃から存在しており、今日に到るまで根絶されていません。そのため、そう簡単に解決できる問題ではないと考え至る方が自然だとすら、自分は考えています。

 

あわせて誤解がないように記載しておきますが、新聞やテレビなどもマス広告媒体においても、 虚偽、誇大広告が掲載されることは決して珍しいことではありません。いまだに、地方の新聞紙を読み進めていけば、広告欄には怪しげな健康食品、謎のブレスレット、宗教チックな小道具、そんなものばっかりです。

 

また全国紙(朝日新聞)でも虚偽広告が最近掲載され、話題にもなりました。

www.asahi.com

 

情報の発信者が極端に絞られているマス媒体ですらこのようなトラブルが生じるのです。情報の発信者の数が歴史的にみても、もっとも多い媒体であるネットにおいて、虚偽情報が完全に存在しないなどということは未来永劫起こり得ません。

 

また実は、「ネット広告=闇」ではなく、「広告=闇」の時代が歴史的には長く、そもそも虚偽広告情報が厳しく取り締まられるようになったのは、ここ数十年程度の話でしかありません。20年弱の新参メディアであるネットが一方的に「闇」と取り扱われる現状には、少々違和感があります。

 

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最古の虚偽・誇大広告について

世界最古の有形広告における虚偽・誇大広告は紀元前2,500年の古代エジプトで作られた化粧品の広告であるとされています。

 

もともと当時エジプトでは、ミイラに作成する際に薬品を使用していましたが、その後その技術を転用し化粧品を発明し、売り出しはじめたところ、人々の美への関心が急速に高まっていき、方々で競って化粧品を売り出そうとする動きが起こり、そのような広告が出回り始めたとされています。

 

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 (この点、詳細は『美容の歴史』に書かれています)

 

ちなみに、その広告文には「老人を若者に変える」といった旨がパピルスに記載されており、明らかに虚偽・誇大広告じゃないであることが伺えます。ちなみに当時の識字率はたった1%とも言われており、比較的識字率が高い富裕層を狙って、代筆屋を経由し、広告を作成していたことが推測できます。(しっかりとターゲティングまでされている....)

 

また、あくまでも有形の広告における虚偽広告として実例を記載しているだけなので、世界最古の広告(バンカーと呼ばれる奴隷を用いた客引き)、つまりは無形広告における虚偽広告は、それより以前から存在していたと推測できます。

 

虚偽広告の波

実は歴史的な事件がきっかけとなり、特定の虚偽広告が流行った時期が存在します。

 

(1)イギリスにおけるコーヒー広告について

イギリスにおいてサロン文化が巻き起こり、コーヒー文化が浸透し始めたことは多くの方がご存知かと思いますが、実はその浸透に一役買ったのが、当時の新聞広告です。コーヒーについて詳細な虚偽情報が記載されており、読み進めていくと色々と興味深いです。ちなみに様々なのコーヒーハウスでこんな新聞広告を出し始めたため、嘘だとバレるのに時間もかかったのだとか...。

 

 

(2)イギリスにおけるペスト対策、治療薬広告について

またイギリスにおいて外せないのがペストの流行と、それの治療薬の広告を個人が勝手に打ち始めた(もちろん治療薬としては効果がないものを、治療薬として売っていた)歴史的事実も見過ごせない。水銀を薬と偽り販売したりと、もう滅茶苦茶。

 

(3)アメリカにおけるサプリメント、薬物広告について

 ご承知の通りアメリカは移民国家のため、医師が少なく、そのため「治療」よりも、「予防」に敏感な気質があり、また病気になってもサプリメントでなおそうとしたり、サプリメントも強力なものが流通していたりとサプリメント大国あることは、ご存知の方も多いはず。しかし、サプリメントが出回り始めた当初はいい加減なサプリメント、広告が多く存在し、それが長々と続いている期間がありました。

 

ちなみに興味深いことに、「効果があるもの」も含まれていました。

 

そう、コカ・コーラです。当時薬局でコーラは調合され販売されていましたが、チップ次第では規定分量を守らずに調合されたコーラが街に溢れており、当時のコカコーラには実際にコカインが入っていたため、本当に痛みを和らげたり、緩和させたりするのに効果があったとか...。当時は毒性、中毒性が証明されておらず、コカインは問題ないと認識され販売されていたそうです。

 

詳しくは岡田斗司夫のニコ生で取り上げられた際の放送で詳しくまとめられているので、そちらをご参照ください。

 

www.youtube.com


最後に

今回のこのブログ記事を書くにあたって、『広告の世界史』を非常に参考にしました。(めちゃくちゃわかりやすくて、面白い書籍です)

 

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今ある広告で起きている諸問題は、大抵は似たような問題が、過去にも起こっています。もちろん技術上の問題(例えばアドフラウドなど)などは過去には起きていないかもしれませんが、広告に備えられている基本機能は大古の昔から変わっておらず、虚偽広告の問題は前述させていただいた通り、実は紀元前存在している問題です。また直近でも、新聞媒体のような成熟した媒体においてもこの問題(虚偽広告)のトラブルが発生しているような状態なので、ネット広告においても虚偽・誇大広告をなくすのは、不可能だと考えるのが妥当でしょう。

 

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