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『Amazon広告“打ち手"大全 』書評|広告運用者の話

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『Amazon広告“打ち手"大全  』を読んでいて、週末が終わってしまった。

『ネット広告“打ち手"大全』に引き続き、インプレス社さん、良いお仕事していらっしゃる。

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所感

買って後悔ありません。内容も非常に良かったです。事例とAmazon広告の諸要素について、端的にではありますが、的確にまとまっており、読んでいてとても理解が捗りました。また自分自身がAmazonスポンサー広告を運用していて感じていた部分について以外の部分、例えばAmazonDSPについてや、ROAS管理の点について知識が身につけることができ、とても満足しています。

 

誰か読むことを想定して書かれているか

自社ECサイト担当者〜代理店担当者まで間違いなく対応しています。Amazon広告の基礎(設定・具体的な情報・メニュー・事例)がコンパクトにまとまっており、現行の他の様々なWEB上のAmazon広告について言及しているコンテンツよりも、わかりやすく書かれています。まず簡単にではありますが、良かった点をいくつか記載させていただきます。

 

良かった点1.基礎が抑えられている

まず基礎が徹底してカバーされています。どのようなメニューが存在し、施策として展開可能なのか、網羅されています。例えばAmazon内・外で広告メニューを分ける他、理想的なアカウント構造についてもしっかりと言及し、効果的かつ効率的な"売れるサイクル"の作り方について言及しています。

あらゆる運用型広告においてもっとも大切なのは、しっかりとした方針の策定と、あらゆる状況にも柔軟に対応ができ、かつ効果的なアカウント構造だと個人的には考えています。例えばAmazonスポンサー広告は広告という概念がなく、キーワードもオートの場合、ほぼ構造で勝負が決まります。

本書の中では、まずAmazon内で勝負をしていき、外へと手を広げいていく手法を推奨しています。初動においてはスポンサー広告で手堅くCVを取りつつ、効率的な広告投下(広告投資)を実施し、手堅く広告投資を回収していく手法は読んでいて、「やはりセオリーな攻め方なのだな」と勉強になりました。

参照
本書【「費用」ではなく「投資」の発想で(p68)】
本書【売れるサイクルをシンプルに構築しよう(p22)】

 

良かった点2.Amazonユーザー情報

Amazonの顧客情報についても、本書に記載あります。
例えばAmazonユーザーの...
・男女比
・年齢比
・世帯年収比
・年齢別デバイス比率
このあたりについてはかなり細かく、情報が記載されていました。

これらの情報を知っているかいないかで、場合によっては提案やビジネス判断も、可能になるのではないかと思います。貴重な情報ですね。


また、
・アマゾンプライムユーザーのCVR
・非会員のCVR
このあたりの数値、ご存知ですか?
本書の中ではそれらについても情報の記載があり、
単純に読み物としても大変面白い内容となっています。

 

良かった点3:他広告との関係性、オフライン実績への言及

最後に、オフラインの販売実績への影響や、
Google検索広告など他広告への影響についても記載があり、
この点は運用型広告に携わっている人でないと、
理解に苦しい点ではあるかとは思うのですが、
それらについても図・イラストを用いて、
わかりやすく記載されています。
例えば、"ショールーミング"といい、
店舗でみた商品をWEBで購入する消費者行動の逆に、
"ウェブルーミング"といい、
WEBでみたものを実店舗で購入する消費者行動の例があります。

広告を通じて売り上げが伸び、
Amazonランキング上位に広告掲載商品が入り込むなどした場合、
"ウェブルーミング"は積極的に加速されるように考えられます。

例えば....
・Amazonランキング上位のビジネス書籍を実書店で購入
・Amazonスポンサー広告で流れてきた商品を実店舗で確認して購入

これまでのウェブ広告以上に、オフラインでの販売実績にはひときわ強い販促効果がAmazon広告にはあるように考えられます。

また他にも、具体的な事例や、代理店の良い選び方などについても言及があり、その点も踏まえ、「想定読者は自社ECサイト担当者〜代理店担当者まで間違いなく対応している」と判断いたしました。

参照
本書【オフラインでの広告効果も軽視できない(p63)】

 

次に言及して頂きたかった点についてですが...

(1)Amazonの物流情報についての指摘

まずAmazonの物流についての言及がなく、その点は求めている方も多いのではないかと思うのでここに記載します。

本書の中でも記載ありますが、プライムユーザーとそれ以外のユーザーではCVRに大きな開きがあり、プライムユーザーが積極的に購入する商品が「プライム商品」になります。

いわゆるAmazonの物流(FBA)に乗った、即発送可能な商品にプライムマークが付与されているのですが、例えば倉庫管理コストの観点から、物流に乗せることが容易な商品、困難な商品が存在します。その点について言及がなく、本書を鵜呑みにしたリテラシーの低い方が出品・広告投下・空振り、してしまうリスクがあるように自分は感じましたので、ここにあえて記載させていただきました。もし本書をお読みになり、実際にAmazon広告を運用検討されているのであれば、この点について考慮した上での広告運用を推奨いたします。

 

(2)Amazonで何が売れるか

これは一般に公開されていないので、なかなか難しい点もあるかと思いますが、Amazonユーザーデータ同様に商品内訳データも欲しかったと思いました。特にAmazonと通常ECでは、売れているものが根本的に異なります。例えばヤマト運輸との一連の委託トラブルの中で、「Amazonの荷物は米・水が多い」という声がドライバーから上がったのは有名な話です。

 

www.bengo4.com

 

通常ECでは売れないような小物、モバイルデバイス補助器具(ケーブル・モバイルバッテリーなど)の販売内訳も多いのではないかと思います。またアダルト商品の割合もかなり多いのではないかと思います。読み物としても、今後のビジネスを考える上でもこれらの情報があった方が書籍としては面白さが増したのではないかと思います。

 
(3)Amazonと日本の相性への言及、国民利用率

Amazonと日本人の相性についても、少し自分は気になっています。特にAmazonは首都圏、地方都市の利用率はかなり高いのですが、地方ではまだまだ利用率が低い傾向があるように感じます。本書の中でも"高齢者である「65サイ以上」もAmazonの方が少なめです"(本書p66より引用)といった記載があるように、地域別にかなり利用率に差があるのではないかと個人的には考えています。あたりの情報もあれば、より書物としての面白みも増したのではないかと思います。

運用型広告において、一般顧客の抽象的理解は必須です。しかし、優れたマーケターほど自分で一次情報収集し、自分を一次情報化し、自分自身を一般顧客の抽象的理解までしてしまう罠にはまりがちです。

 

以前「中目黒のマーケター」について言及されていた方がいらっしゃいましたが、消費者は自分ではなく、日本全国にいる日本人なので、決して自分だけの消費メカニズムに捉われたマーケティング手法を展開してしまわないよう、注意しなければなりません。

 

いまさらこんなこというのも変だけど、マーケティングや広告、そしてメディアにかかわるビジネスって、「都市の仕事」だと思う。典型的な「都市型ソフトウェア」というんだろうか。人と情報が集積しているから、新しい潮流が生まれる。ただ、実際のお客さんは世界のあちらこちらに暮らしている。だから、マーケターが都市に暮らして働くのはいいけれど、その世界がすべてではない。でも、最近マーケティングや広告、メディア界隈の人が見ている世界が、限定的になっているようにも思う。何というか「中目黒のマーケター」という感じの人が多くなりすぎている気がするんだ。....

こういった罠に陥らないためにも、よりフラットな情報が必要ではないかと思います。

 

(4)Amazon広告を打つ困難さ

上記(1)にも記載しましたが、FBAに乗せるのと乗せないのとでは、CVRが大きく変わってしまう可能性は高いのではないかと考えられます。また、本書にも記載ありますが、「在庫切れとカート負けは死活問題(本書p151)」です。特に「カート負け」は、本書の中では1ページしか記載ありませんが、人気の商品であればあるほど、獲得合戦が活発化する恐れがあり、しっかりと対策を練り、対処していく必要性がある点になるかと考えられます。この点についてはより現実的な対策の実例などあれば記載いただきたかった。

参照
本書【在庫切れとカート負けは死活問題(p151)】

 

最後に

運用型広告のおらゆる局面において、知った上で提案しないのと、知らずに提案できないのとでは、絶対的な差があります。本書では冒頭からAmazon広告の明るい今後について記載がありますが、実際運用してみると困難な点や、物流問題などの壁に当たってしまうことも多く、代理店の人間ができることはかなり従来のWEB広告に比べて、限られているケースが多いように考えられます。明るい未来はあるものの、しっかりと壁に立ち向かい、壁を乗り越えた強者だけが明るい未来を享受できるのではないのではないでしょうか。そしてその明るい未来にクライアントさんが立てるように、最大限手を尽くすのがこれらの代理店側の人間にできることなのではないかと考えさせられました。

 

書評本:『Amazon広告“打ち手"大全 世界最大のECサイトで広告運用に挑む 最強の戦略77 (できるMarketing Bible)』鳴海拓也,寳洋平

Twitter:@RKawtr

 

追伸

書評を掲載したところ、著者お二人からTwitter上のリプライをいただきました。

 

 

 

ありがとうございます。

また本書の出版記念セミナーにも参加して参りました。

そちらの記事も、もしよろしければご確認ください。

 

ppc-log.hatenablog.com

 

 

 

 

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