PPC-LOG

主にリスティング広告をはじめとするインターネット広告、マーケティング関連の記事を書いています。

Google広告における「種まき施策」を支える柱について考えてみた|Google Discoverの狙いとは?

先日クライアントから、「Googleが自分の趣味を知りすぎていて気持ち悪い」という奇妙な相談を持ちかけられた。
 
はい?
 
聞いたところによると、自身のGoogleがレコメンドする記事(Google Discover)が、自分の趣味、趣向を知り尽くしている感があり、ちょっと怖くなってきたし、気持ち悪さも感じているとのこと。
 
うーん、なるほど。
 
自分も、Googleの直近の動きに多々気になる点がある。特に、ここ1年ぐらい、急速に興味関心の精度が向上してきている気がする。例えば、YouTubeのオススメに自分にどストライクの動画が流れてきたりして、動画を見入った、チャンネル登録してしまった経験がある人というのは、意外と少なくないのではないだろうか。
 

 

 

 

 

現象には、必ず理由がある

 
例えば、生業である広告運用においても、これまで成果が出にくかった種まき施策でコンバージョンがとれるケースが増えてきている
世はまさに、"種まき施策大航海時代"なわけだが...
 
  • なぜかつては実現できなかった、高精度な低クリック単価での種まき施策(興味関心情報ベースの広告配信)を、Googleができるようになってきているのだろうか
  • なぜGoogleは我々の好みを理解できるようになりつつあるのだろうか
  • 「種まき施策」の構造を支える柱(技術)は、一体何なのであろうか
この点について、言及している、調べている広告運用者は、殆どいないように思う。
 
 
結論から言ってしまうと、自分は現在提供しているレコメンド機能による学習(とくにYouTube、ディスカバリー)が、Googleの興味関心ベースでの広告配信に、ある程度影響を及ぼしているのではないかと考えている。(もちろん、ファクトもエビデンスもないけど....)
 
今日はこの点について、考えていきたいと思う。 

f:id:sbgx:20190804162335j:plain

データの集め方にみるfacebook

まずはじめに、例えばfacebookとGoogleでは、ユーザーの情報取得に対する貪欲さが異なるように思う。(これは現場で、実際に広告運用している人であれば、ある程度感覚的に理解できるのではないかと思う)
 
イメージとして、facebookはデータを根こそぎとっていく感じがする。
 
 
実際、下記はfacebookにログインした際に個人で確認可能な、当人の興味関心や情報について記載されたものである。(データは私のもの)広告運用上、これらのデータ広告配信の最適化の工程で使用されている。
 
 

f:id:sbgx:20190804111200j:plain


 

f:id:sbgx:20190804111217j:plain

 
 プロフィール情報(生年月日など)、主に使用しているデバイス情報、ネットワーク環境はもちろん、よくfacebookにログインする際に使用するデバイス状況、facebook、instagram上で「いいね」を押したページコンテンツ情報をベースに、情報を蓄積しているようだ。
 
facebook businessのヘルプには、次のような記載がある。
 
好きなものと趣味・関心のターゲット設定を行うと、プロフィールに含まれた内容や、FacebookでつながりになっているFacebookページ、グループ、およびその他のサイト上の内容に基づいて、広告の対象者を絞り込むことができます。趣味・関心、活動、好きな音楽、好きな映画、好きなテレビ番組などのセクションがあります。
 
 
facebook内での閲覧したコンテンツに伴い、興味関心などは判断されているらしい。
 
つまり、facebookIDでログインしている際に通常ブラウザなどで閲覧したサイトの情報などは取得していないようだ。
 

データの集め方にみるGoogle

一方で、Googleのデータは下記の通りである。(プライベートアカウントのデータ)
 

f:id:sbgx:20190804111240j:plain


 年齢、性別はアカウントデータから取り出せるかと思うが、「SEO・SEM」は、単純にプロフィール情報から算出するのは困難だろう。Googleは、ログインした状態で閲覧したサイトについての情報も収集している。そのため、これらのデータはそれによって取得されたと考えるのが合理的であろう。
 
飲食に関する情報などは、Google Mapあたりも、参照しているのかもしれない。
 
この点については、下記アナグラムブログがより詳しく詳細にまとめているので、そちらを参照してほしい。
 
結論から言ってしまえば、
 
  • facebookは限られた情報を効率的に処理し、精度の高い広告配信を早期に実現させていた
  • Googleは、元データは多数有しているが、分析する技術が追いついておらず、これまで効率的な種まき施策(低単価での類似配信)を実現できていなかった
 
と考えることができるのではないだろうか。
 

なぜ精度が向上してきた?

ではなぜ、ここにきて、種まき配信の精度が急速に上昇したのかについて考えてみたいと思う。主にこの精度向上を支えている要素は2つあるように考えられる。
 
  • AI、機会学習の精度向上
  • アナログ要素(人、時代)の変化
AI、機械学習の精度向上 

ここではGoogleが提供する「Google Discover」を例に、考えていきたいと思う。まずGoogle Discoverについてだが、下記の要素により、内容は選定されていると明記されている。 

Discover の表示内容はどのように決定されるか

Google は、Discover に表示する内容を判断するため、ユーザーのデバイスや、他の Google サービスから取得した情報を利用します。また、Google アカウントに保存されたデータも利用します。このデータは、ユーザーが変更したり無効にしたりできる設定に基づいています。以下の設定が含まれます。 

ウェブとアプリのアクティビティ

デバイス情報(Google がこの情報を使用するには [ウェブとアプリのアクティビティ] がオンになっている必要があります)

ロケーション履歴(Google がこの情報を使用するには [ウェブとアプリのアクティビティ] がオンになっている必要があります)

現在地の設定: Discover の更新情報には自宅の住所に基づいて表示されるものもあります。Google は、自宅の住所が利用できない場合、職場の住所やデバイスの現在地を利用することがあります。自宅や職場の住所を設定する方法をご覧ください。

Discover を使用して、興味のあるトピックの最新情報を受け取る」より引用

 support.google.com 

過去にログインして見たウェブサイト情報など、これらローデータ(元データ)は相当なノイズが有り、従来であれば処理することが困難であったものの、現在はAI、機械学習の機能が強化され、それにより高度情報処理し、最適化能力の向上が引き起こり、よりユーザー側がもとめている情報をレコメンドできるようになったのではないだろうか。

 

 また、AIによる機械学習において過学習はなかなか悩ましい課題だが、現状のレコメンド技術を見ているからに、この点はすでに膨大なデータ量を武器に、解決させている可能性もあるのではないだろうか。

 

ailearn.biz

 

Googleがディスカバーをモバイルに一般開放し、「フィード」から「Discover」に改名したのは、昨年のことである。 

 

japanese.engadget.com

 

この一年で以前よりもデータ処理量も増え、機械学習量も短期間で相当量増えたことが想定されるため、それにより短期間での高効率的な学習を可能としたのかもしれない。

 

 Googleは2017年に「AIファースト」宣言をし、旧来からあるGoogleサービスへの、AIによるテコ入れを展開していくことを表明している。

 

そのため、その効果が、今になってじわじわと効き出していると考えられる。 

 

logmi.jp 

またGoogle Discoverを経由することで、
  • 記事をクリックするかしないか
  • 遷移先のサイト滞在時間はどのぐらいか
  • 類似のコンテンツを表示した時にどのぐらい記事を見るのか
  この程度のデータを間違いなく、Googleは以前よりも効率的に、掴むことができるようになったはずである。その結果得られたデータが、SEO、興味関心によるターゲティング広告に活用されている可能性は、非常に高いように考えられる。
  
またfacebookは過去に多々トラブルを起こしているためか...
 
 
Googleはユーザーに対して、新しいデータを打ち出していくことに、非常に慎重である。
 
下記は、実際に自分宛にGoogle Discoverで表示されたカード(レコメンドされたブログ記事など)の実例である。役にたつかと毎回表示される。「いいえ」を押すと、カードが非表示となる。

f:id:sbgx:20190804180208j:plain

 
少し関連性は高いが、これまでに出してこなかったカードを出す際、好みを正確に読み取ろうとしているようにも見える。
 
 
広告面でも同様のことが言える。
 
Googleは、これまで検索広告上ではYahooに比べて、比較的に様々な商材でも広告展開を可能としてきたが、ディスプレイ広告媒体に関しては、少し奥手なところがあったように思える。(特にプライベートなデリケート商材は、現在もディスプレイ広告を用いたリマーケティングが困難である)
  
  • 検索していない人に、こんな広告を出していいのか?
  • いくら過去にこのサイト見たからってこの広告を出すのは道徳的に...

 

そんな塩梅をGoogle Discoverでは検証しているようにも思えるし、来るべき超高精度な類似配信の実装の日に備えて、機会学習を重ねているようにも考えられる。

 

support.google.com

 アナログ要素(人、時代)の変化
自分は上記したこのような配慮が、世界的にも求められているのではないかと思う。
 
Googleはおそらくfacebook同様、かなり乱暴なやり方で情報を収集し、レコメンド記事を表示させたり、広告を配信させることができる技術力を有している。しかし、先例(facebook)に習い、あえて加減調整をしているように考えられる。 「貴方に合うから!」とAIが提示した情報を鵜呑みにできるほど、多くの人は、まだ適応できていない。過剰な広告による売りつけを始める前に、高レコメンド技術によるレコメンドが当たり前の社会を構築した上で、広告を用いて攻めていくのが、正攻法であろう。
 
それでも、facebookや、instagramがある程度土壌を作ってくれたり、YouTubeやTikTokが土壌を作ってくれているおかげか、ここ最近はかなりこの点に対しても敏感なユーザーは減りつつあるような気もする。
 
調和のとれた関係性のままシフトすれば、どこぞのSF映画、漫画、アニメのように、就職や結婚もAIに任せられる世界に、そのうちなるかも...。(自分はこの点大歓迎なのだが...)
 

 

最後に

最後に、「ディスカバリー」「ディスカバー」というキーワードは、アメリカ人にとって、実はかなり大きな意味合いを持ったキーワードだという点について、言及しておきたい。
 
アメリカの歴史は常に、このキーワードと共にある。
 

f:id:sbgx:20190806222938j:plain

 
・アメリカ大陸発見(Age of Discovery)
・ルート66 (Discover America)
・宇宙開発(Space Shuttle Discovery)
・現在のルート66(Rediscover America)
 
Discover(発見)は常に、アメリカ人にとって最良の心の癒しであり、イノベーションのための、布石でもある。
 
飢餓、天然痘、チフスから身を守るために香辛料を求め、アメリカ大陸発見に乗り出したように、
 
冷戦による窮屈な空気感を打開するために、宇宙開発を進めたように、
 
復員兵が心の癒しをもとめ、ルート66を車で疾走したように、
 
そして彼らがノスタルジーを求め、老後にヴィンテージカーでルート66を疾走しているように、
 
 
常にアメリカは"Discover"というキーワードとともに、時代を歩んでいる。
 
なので、“Discover”というキーワードがついたものは、アメリカ人にとっては、気合の入った、ちょっと“特別なもの”として注目しておくと良いかもしれない。 
 
以上、とんだ与太話でした。

 

ツイッターはこちら

twitter.com

 

 

追記 

当記事の予約公開を設定していた前日(つまりはこの記事の追記を書いている、まさに今日)、JADEの長山さんがGoogle Discoverについて、かなり詳細に書かれた記事をアップされました。

www.mediatechnology.jp

“Discover は Google 検索の正統進化系”という見方はとても正しい見方だと、自分も思います。

 

今がGoogleの分水嶺のような気もするのですが...いかがでしょう。

 

ツイッターはこちら

twitter.com